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その繊細な手から生みだされたものは、本物と見紛うばかりの小さな生きものたちだ。ハサミの他に数種類の道具を駆使して、切れる紙なら何でも使い、即興を交えて紙の造型に命を吹き込み、神の造型へと昇化してゆく。 その手はハサミで1ミリを10分割するという早技を持っている。子供のころの喘息の発作に対して、集中する為に始めたという切紙は2才に端を発し、3才の時、紙で昆虫づくりを始め、4才の時母親にハサミを初めて買ってもらい、驚くべきことに今でもそれを愛用しているという。 「正しい時間」という言葉があるということを私は小林和史から教わった。彼がよく使う言葉だ。私達は今正しい時間を過ごしているのか。 この自身へ向けられた不断の問いかけに、彼は紙による昆虫づくりという行為を通して、すなわち、無価値なものとしての使用済みの素材に、精神的な価値を付与するという行為を通して、応えているかのようである。(椎名 英三 建築家) |
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